特別養子縁組・渉外養子縁組という選択肢

 

渉外養子縁組の手続きに、行政書士として関わらせていただいています。「渉外」とは外国籍を含むことを言います。


子どもにとって、自分だけを見てくれる大人の存在がどれほど大切か、また、育てる側にとっても子どもの存在が大きな支えになることを、日々感じます。

日本では現在、乳児院や児童養護施設で生活している子どもが多くいます。
一方で、子どもを育てたいと願っていても、なかなか授からないご夫婦もいらっしゃいます。また、予期せぬ妊娠などにより、
「育てたい気持ちはあるけれど、今は難しいかもしれない」
と悩まれる方もいます。

そのようなときに、
自分で育てる方法はあるのか
施設に預けることになるのか
養子縁組という選択はあるのか
きちんと相談できる場所があることが大切だと思います。

十分に考え、納得して決めた特別養子縁組であれば、
産みの親にとっても、育ての親にとっても、そして子どもにとっても、前向きな選択になることがあります。

 


特別養子縁組とは 

特別養子縁組は、昭和63年に創設された制度で、通常の養子縁組とは異なり、実の親との法律上の親子関係を終了させ、養親との間に実の親子と同じ関係を作る制度です。成立すると、

  • 実親との親族関係は終了する
  • 養親とのみ親子関係が成立する
  • 相続や扶養も養親との関係のみになる
  • 原則として離縁はできない

という非常に重い制度です。そのため、家庭裁判所の審査を経て、子どもの福祉のために必要と認められた場合にのみ成立します。

主な要件は次のとおりです。

  • 養親は夫婦であること
  • 一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上
  • 子どもは原則15歳未満(改正があり、6歳未満→15歳未満)
  • 実親の同意があること(事情により例外あり)
  • 子どものため特に必要と認められること

また、申し立て後すぐに成立するわけではなく、実際に6か月以上養育を行い、その状況を家庭裁判所が確認します。期間としては、おおよそ8か月から1年程度かかることが多いです。

 


戸籍にはどのように記載されるのか 

よくあるご質問のひとつに、養子であることは戸籍に分かりますか?

というものがあります。

普通養子縁組の場合は、実親と養親の両方が戸籍に記載され、「養子」と記載されます。

しかし特別養子縁組の場合は、

  • 養親のみが父母として記載される
  • 「長男」「長女」など実子と同じ記載になる

ため、一見すると養子であることは分かりません。

ただし、裁判所の審判によって入籍したことを示す記載があるため、戸籍を詳しく確認すると、特別養子縁組であることが分かる仕組みになっています。

これは、子どもが将来、自分のルーツを知ることができるようにするための配慮です。実際には、養子であることをいつどのように伝えるかという問題もあり、
各家庭で慎重に考えながら対応されています。

 


外国人が関係する場合 ― 渉外養子縁組

近年、日本ではさまざまな国籍の方が生活しています。

そのため、

  • 養親の一方が外国籍
  • 養親が外国籍夫婦
  • 子どもが外国籍
  • 実親が外国籍

といったケースも増えています。このように外国籍の方が関係する養子縁組を
渉外養子縁組といいます。渉外養子縁組の場合、日本の法律だけでなく、当事者の本国法も確認する必要があります。

例えば、

  • 養父が外国籍、養母が日本人
  • 養父母が外国籍
  • 子どもが外国籍
  • 海外在住の夫婦が日本の子どもを養子にする

といった場合には、

  • 本国法の調査
  • 法律の翻訳
  • 裁判所への提出
  • 国籍の問題
  • 在留資格の問題

などが関係してきます。

例えばアメリカ国籍の場合は州法を確認する必要があり、裁判所から訳文の提出を求められることもあります。日本人だけの養子縁組と比べて、専門的な知識が必要になることが多い分野です。

 


渉外養子縁組は専門家への相談をおすすめします

当事者がすべて日本人の場合は、家庭裁判所に申し立てをして成立することもあるようです。

しかし、

  • 外国籍の方が関係する
  • 本国法の確認が必要
  • 言葉の問題がある
  • 国籍や在留資格が関係する

といった場合には、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

実際には、弁護士さんと連携しながら手続きを進めることも多く、裁判所への対応や書類の準備など、サポートが必要になるケースが少なくありません。

当事務所でも、これまで複数の渉外養子縁組に関わり、必要に応じて弁護士や支援団体と連携しながら手続きを進めてきました。

 

養子縁組は、子どもの人生にとって非常に大きな意味を持つ制度です。
だからこそ、十分に情報を集め、納得したうえで進めていただきたいと思います。